寝て 食べて また寝る

好きなことのあれやそれ

結婚する彼女

 

「結婚することになったから報告。笑」

と20年来の幼馴染からLINEで1年ぶりの連絡があった。

 

直接会って話したのはたぶん3年くらい前が最後。

まともに会話した記憶があるのは5年くらい前のディズニー。

 

ツイッターでペアリングのデザイン画やダイヤモンドを控えめにあしらった指輪が彼女のツイートで流れてきていたため結婚は察していたが、しばらく連絡をとっていない私にも報告をしてくれるんだ、と関係が完全に絶たれていないことを少し嬉しく思った。

 

 

今思うと、私と彼女は人として全く合わないタイプではないが、だからと言って合うタイプでもない。

特に仲の良かった小学校高学年~中学の時はそんなこと微塵も感じなかったけれど。

 

でも、小学校の学区単位の幼馴染なんてそんなものだろう。

ただその地域に住む子どもでそれ以外は共通点もなく、同じ試験を受けて一定の基準をクリアし精査されたわけでもない。

せいぜい、小学校入学前の知能検査で「特に何もありませんね」とお互い言われた程度。

 

同じ保育所で園内を駆け回り、小学校から中学校まで同じクラスで同じ教育を受け、同じ部活動に勤しみ、高校はクラスは同じになることはなかったが行き帰りで会えば話しながら歩いた。

 

幼少期はお互いの家で遊び、中学では街へ出てプリクラを6回も撮ったり、部活動が嫌だと愚痴を言い、高校を卒業して所属が異なると疎遠になる…

どこにでもいる、本当にどこにでもいる幼馴染だと思う。

 

「どこにでもいる幼馴染でしょ。だから結婚式でなくていいよ。」

声はせずとも感情が燻っている。

私は彼女から報告を受けた時「おめでとう!」とは言えなかった。言いたくなかった。

 

彼女の結婚相手は高校の時に私がギャーギャーと他人なのにやかましく、それはもう今だったら愚かな行為だと自分でも思うけど頭ごなしに「あいつはやめとけ!あんなやつのどこがいいんだ!」と言っていた人だった。

 

正直今も結婚相手のことはよく知らない。

ただ、名前も聞きたくないくらい嫌悪感を未だに抱いている。何故って、当時から彼女を苦しめていたし、婚約状態の今でも彼女を苦しめているのがツイートからわかるから。そして、私の信頼していて結婚相手のことをそこそこ知っている友人たちから結婚相手の悪い話は聞けども良い話は一度も聞いたことがない。

 

私はとりあえず地元に帰省した時に彼女と会うことにした。

その時のシミュレーションに悩んだ結果、この記事(と言っていいのか?)を書き始めた。

だって、「結婚おめでとう」と言えないのに、なんと言って、どんな顔をして数年ぶりに会えというんだ。

 

そもそも会わなければ良いという話かもしれないが、彼女に関する感情にケリをつけるために会うことを自分から誘った。

本当に幸せなのか、色々聞いていく中で確かめたかった。彼女のツイートからは幸せな様子なんて全く感じられない。どう考えても不幸な未来しか見えない。何故、何故……  

私が確かめたところで彼女らにはなんにでもない。私も確かめたところで何が出来る訳でも無い。

「あの男だけはやめておいた方が良い」と今さら言うのか?

それも考えたけどどう考えたって愚かな行為だなとしかわからない。

 

結局のところ、彼と付き合うことも結婚することも決めたのは彼女だ。おそらく色々な人に散々言われてきても変えなかったのは彼女だ。

私が今さら言うことは本当に何もない。

「おめでとう」とお世辞にも言えない人間が会おうとするのはやっぱりおかしいと自分でも思う。

ただ微かな何かにすがりたい。

どうか、どうか直接聞く彼女の話がせめて幸せで溢れていて欲しい。

身のまわりで初めて結婚する人が不幸な気持ちを持ったままなんてのは嫌だ。

 

私ができるのはせいぜい結婚に対してではなく、彼女へ喜びそうなプレゼントを渡すことと、いつでも助けになること、何があってもずっと大切な人だよと伝えることぐらいだ。

 

結婚を気に関係を絶つことも少し考えた。

でも、やっぱりできないと思う。

中学の自分を構成する時期に彼女とずっと過ごしたのはとてもとても大きい。

自分のありとあらゆる、まではいかなくても9割くらいの思考や感情や考え方はぶちまけていた。

私と彼女の共通点や繋がりは自己肯定感が低い事だったと今なら思う。

中学の一時点を共有していた思い出が強すぎるのかなんなのかわからないが、「おばあちゃんになっても仲良しでいると思う」という当時2人の交換ノートに書いた言葉が呪いみたいだ。

 

こんなに気になるなら関係を絶ってしまった方が楽だけど、それができるなら気にしていないしそもそも嫌いになれない。

 

私が好きなゲームは全て、彼女が当時やっていたのを私も羨ましがって買ったがきっかけだし、漫画を買うようになったのも彼女がちゃおを買っていたからだし、今のゲームやアニメや漫画が大好きな私は当時の彼女がきっかけで作られているのは間違いない。

 

保育所から一緒だったけれど、彼女が1番仲良かった子が転校してから仲良くなったこと、

小学校の校庭のタイヤの遊具の上でポケモンバトルをしてお互いトキワの森付近なのに彼女がバタフリーを出して即座に負けたこと、

小学校で他の子も混じえて交換ノートをしていた時に2人だけ毎回ちゃおで連載していたエンジェル・ハントの話をしていたこと、

中学で部活動が2人共苦手で他の部活動のメンバーがいない時に愚痴をずっと言っていたこと、

中学の2人の交換ノートで彼女の好きな人と私が会話していたのが嫌で一時期私を嫌いだったと告白してきたこと、

映像のように思い出せる。

 

思えば当時から彼女は誰もが「え?その人が好きなの?」という人と付き合っていて男運というか見る目がなかった。

 

絶対に幸せになって欲しい人に幸せになってもらいたいだけなのだが、私の思う幸せと彼女の思う幸せはたぶん違う。

彼女の結婚を祝うことができないなんて中学の私は想定していないだろうな。

 

彼女と会うまでになんて顔で会おうか、何を言うのかうじうじ悩むだろうけど、彼女へのプレゼントを渡すことは楽しみなので喜び姿を想像しながらプレゼント選びをしたい。

 

お花が大好きな彼女には花が良いのか、それとも地元では手に入らないSABON等ちょっと小洒落たものが良いのか、日常で使う小物が良いのか、彼女の幸せな笑顔に酔いながら選ぼう。